令和元年東日本台風【2019年10月】
10月6日に発生し、10月10日から関東甲信、東北地方などに雨を降らせながら12日に上陸した台風19号。
千曲川を含む国管理の6水系7河川12カ所と7県が管理する20水系67河川の128カ所で堤防が決壊し、土砂災害は全国で962件発生した。死者104人、行方不明者3人、全半壊の住家3万3332戸という被害を出した。この台風による被害は河川や道路、橋梁、鉄道などの土木施設だけでなく、住宅や医療・社会福祉施設、学校施設、商業施設などの建物にも大きな爪痕を残した。
県内では長野市穂保地区で千曲川の堤防が決壊。長沼地区や豊野地区で多くの家屋が全壊する浸水被害をもたらした。東信地区では、インフラの被害が大きく、千曲川に架かる上田市の上田電鉄別所線の鉄橋が崩落。同じく千曲川に沿って走る東御市の市道白鳥神社線「海野宿橋」が橋台部分を含む護岸が大きく浸食されて崩落したほか、県道丸子東部インター線の「田中橋」も道路が陥没して橋が崩壊するなど、各地で交通がマヒした。
地域建設業による復旧
これらの被害を受けて、長野県建設業協会をはじめ、各地区各職域の建設業団体らがそれぞれインフラ施設の応急復旧作業にあたった。
その後の本復旧工事では、県内の被災箇所が膨大な数にのぼり、それらの規模も大きかったことから、復旧工事の入札に応じられる企業が足りず、復旧・復興が進まないのではといった懸念があった。そこで、長野県では甚大な被害からのいち早い復旧・復興を目指して迅速に工事が進むよう業界団体と協力。環境の整備や制度の柔軟な運用を行ってきた経緯がある。
その後の影響
また、この台風を受け、国では、千曲川(信濃川)を含む全国の7水系で都県や市区町村との連携による「緊急治水対策プロジェクト」をまとめ、2020年から5年~10年間をかけてハードとソフトを一体的に進めることとした。
千曲川とその支川を管理する国と県によるハード対策とともに、「流域治水」といって、雨水が河川に流入する地域から氾濫により浸水が想定される地域までを一つの流域として捉え、流域に関わるあらゆる関係者によって流域全体で治水対策を行う取り組みが本格化することになった。