地震の災害事例

神城断層地震【2014年11月】

2014年11月22日に北安曇郡白馬村、小谷村などを襲った地震。地震の規模はマグニチュード6.7、最大震度6弱だが、最も被害の大きかった白馬村堀之内区では震度6強に達していたのではないかともされる。

重軽傷者46人、全半壊した住宅は253棟。これほど多数の家屋が倒壊したが、死者が1人も出なかったことから「白馬の奇跡」と呼ばれた。

建設業による復旧

幹線道路の復旧には4日ほど掛かったが、大町を経由した迂回路は地震発生翌日の午後3時には完了。地域が孤立することはなかった。地元の建設企業が被災すぐから現地を駆け付け、作業を進めたことが要因だ。

地元・白馬村周辺の建設企業は、この復旧だけでなく、地震発生直後の深夜0時過ぎには停電で明かりもテレビもない中、対策本部にも集まっている。理由は二次被害が起きないように道路を調査し、交通誘導するため。復旧工事だけでなく、被災箇所での安全を確保するための活動だった。

この時、「自分の家が倒れたのに駆けつけた社員もいた」と話すのは地元建設業の社長。自身も「寝ずに道路を守り、翌日には復旧工事に入った」という。

その社長は、死者を1人も出さなかったことについて「白馬村は住民が区ごとに防災マップをつくったり、住民同士の連帯感が強く、それが死者ゼロにつながった。自分たち建設企業も組織立って動いた」と話してくれた。同社長は災害に対して、「自分の地域は自分たちの会社が守るという意識があった。今でも地域に愛着を感じて仕事しているから、災害で動くのは当然だ」という。